今回のテーマは「ホントに必要!? 消費税アップ!」(撮影:野原誠治) 写真一覧
わかっているようでわかっていない経済問題を身近な問題に置き換えて紹介する番組、森永卓郎のBLOGOS経済塾。2012年になり、野田政権がいよいよ、消費税増税を本格的にスタートさせました。野田総理の悲願ともいえるこの増税策ですが、そもそもデフレが進む日本で、なぜいま消費税を挙げなければいけないのか!?多くの方が思うこの疑問に経済アナリストの森永卓郎が答えました。そして、森永さんの話から、消費税を増税した日本の未来の姿が見えてきました!
お金が無いから増税は真っ赤なウソ!
小口:鼻息の荒い野田総理。2014年4月に8%、2015年に10%という消費税増税案ですけれども、野党はもとより民主党内からも反対意見が相次いでおります。じわじわと消費税があがってきてま� �が。ところで、しおりちゃんは何年生まれですか?
仲俣:1992年です!
小口:日本で消費税が導入されたのは1989年(平成元年)の4月1日から。となると、しおりちゃんは?
仲俣:もう当たり前のように(消費税)ありましたね。生まれた時は。
小口:100円のものに103円払うのだって、びっくりしましたよね。
森永:計算できないんですよ。3%というのが。
小口:のち1997年に5%に引き上げられましたが、今度は10%に…という状態です。しおりちゃん、なんで野田総理が消費税をアップしようとしているのかって、考えたことある?
仲俣:お金が足りないからっていう単純なことはわかるんですけど。それが何に使うために必要なのかなっていうのは、理解してないで� �ね。
森永:一応、表向きの説明はそうなっているんですけども。多分ですね。財務官僚の人に騙されて、すっかり"消費税をあげないといけない"っていう風に、信じ込んじゃっている…というのが野田総理の現状なんだと思うんですね。
小口:別にこれ民主党になったからって"消費税あげます"って急に変わったわけじゃないんですよね?
森永:いや、民主党は2009年の選挙の時に"まず歳出削減が先だ"と"だから政権を握っている4年の間は、消費税はあげません"っていって選挙をやったんですよ。
小口:でも、マニフェストを全部やぶってく・・・っていうのが民主党の方針ですからね。
森永:元々、民主党が政権をとった時は、小沢・鳩山グループが主流派だったんです。で、この人たちは今� ��も消費税増税には反対なんです。いま、政権を握っているのは、前原・野田グループっていう、また政治の基本理念が全然違う人たちなので、この人たちは小沢・鳩山グループの政策がキライなんです。
小沢・鳩山グループの政策っていうのは、基本的に平等化政策。つまり"バラマキ"なんですよ。例えば「子ども手当出します」「高速道路を無料化にします」「農家に戸別所得補償を出します」みたいなことをやるのが小沢・鳩山グループなんです。
そして今回、野田総理が、内閣改造でやったことは小沢・鳩山一派の一掃。すべてなかったことにしたんです。一川さんっていう前防衛大臣、それから山岡賢次前国家公安委員長。2人は問責決議を受けてはいたんですけれども、この2人を外しました。で、新しい防衛大臣と� ��て、田中直紀さんが入ったことで、小沢グループ継続といわれたんですが。田中直紀さんは小沢系ではあるんですけど、純粋な小沢グループではないんです。嫁(田中真紀子)が、小沢(一郎)さんと仲が良いっていうぐらいの関係なんです。
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しかも、前回からそうだったんですけれども。鳩山グループ閣僚ゼロ、小沢グループゼロ。つまり、今回の組閣っていうのは、完全な"脱小沢・脱鳩山"っていうので作ったというのが特徴なんです。
しかもですね、岡田克也(現・副総理)というちょっと顔の恐い人がいるんですけれども、その人を新たに閣僚に入れて、消費税引き上げ担当にすると。これは、小沢さん達、頭にきてると思うんです。
だって、岡田さんが小沢さんに"党員資格停止"っていうのを突� �つけた人ですから。これは結構、犬猿の仲なんです。小沢さんも、岡田さんのことがキライ。岡田さんも小沢さんが大嫌い。こういう反小沢・反鳩山体制を作る中で、自分の政治生命をかけて、何がなんでも消費税をあげるんだ…っていうのが、野田総理がやろうとしていることなんですね。
小口:でもそれって、さっきしおりちゃんが言った"お金が無いから消費税をあげる"っていうのと少し議論がずれてませんか?
森永:お金が無いからっていうのは、真っ赤なウソといえばウソなんです。別にそんな増税しなくちゃいけないところまで、日本が追い詰められてる…なんて話は全くないんです。例えばね、今回消費税率を5%から10%にあげると、いくら税収が増えると思いますか?
小口:単純に税率が倍なら、税 収も倍じゃないですか?
森永:実は13兆円増えるといわれてるんです。
小口:現在は、消費税の税収っていくらぐらいなんですか?
ショックのチケット
森永:だから、現在が13兆ぐらいなんで、倍にすれば増える分が13兆。例えば、いまデフレです。デフレの時はどんどん経済規模が小さくなっていくわけですよ。右肩下がりになってくる。そのデフレに突入したのが、1997年。税収は54兆ありました。いま、42兆です。つまりデフレで12兆も落ちたわけです。だから、デフレを止めれば、それだけで消費税を2倍にするのと同じぐらいの税収増はあるわけです。そしたら誰も痛まないんです。
小口:デフレを止めるっていうのは、なにをすることなんですか?
森永:一番単純にいえば、お金をたくさん刷れば、お金の価値が下がって、物価が上がり始めます。
小口:でも(お金)刷って、日� ��の経済が落ち着くんだったら、刷ればいいって思いますけど。刷らないのにも、何か理由があるんですよね?
森永:わざとやらないんじゃないかなと。だって刷ること自体は簡単じゃないですか。あっという間に刷れるのにやらないんです。
仲俣:なんでですか?
森永:それは、デフレを続けたいと思っている人が多いからだと思いますね。野田さんは単純なので、(増税は)自分の使命だと思い込んでじゃってて、深くは考えてないと思うんですけど。安住財務大臣も、深くは考えていないと思いますけど。その後ろで、糸を引いている人がいて。その人は"デフレになったほうが嬉しいな"と思っているんですね。このまま行くと、消費税の引き上げとともに、今まで緩やかなデフレだったんですけど、それがドーン� �落ちて恐慌になる可能性が結構高いと思っていて。恐慌になった時にお金持っている人なんて笑いが止まらないでしょう。
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消費税アップは、お金持ちのための政策!?
小口:しおりちゃん。消費税があがると私たちの生活はどうなっていくと思います?
仲俣:消費税があがったら・・・私はちょっと物を買うのをやめようかなって思っちゃいますね。できるだけ節約しちゃうかもしれないです。
森永:それがね、一般庶民の行動パターンなんですよ。でも(消費税が)あがってから節約しても、ホントはダメなんですよ。増税まであと2年3カ月あるわけですよ。この間に、思いっきり節約して、金をがっつり貯める。すると、恐慌がきて資産価格が暴落するわけですよ。マンションは下がる、株は下が� ��と。そうすると、自分の金ででっかいマンションが買える。
これはね、経済の大原則。安い時に買って、高い時に売る。金持ちにとって笑いがとまらないんですよ。だから、あえて恐慌にしたいんだと、私は思いますけどね。
小口:消費税を10%にするということで、もしなったとしたら、しおりちゃんは物を買わなくなるだろうと。それに伴って、貧しい人や比較的低所得者の人達にも平等に負荷がかかってしまうのが消費税なんですよね?
森永:あのね、平等にかかるっていうか、徹底的にそこ(貧しい人や比較的低所得者の人達)にかかるんですよ。社会保障財源だって言ってるわけです。だから「年金」だとか「医療」だとか「介護」だとか、その財源を賄うために消費税の引き上げが必要なんですよ・・・と� �ってきたわけですよ。ところが、ここにすごいインチキがあって。これ年金でも医療でも同じなんですけど、厚生年金の保険料がいま、ざっくりいうと16%ぐらいかな。これは年収の16%かかるんです。ところがいまは、8%を個人が払って、もう8%はその給料を払った会社が払っているわけです。でもこれを消費税に財源を移すとどうなるか。まず、企業が払わなくていいんです。わかります?消費税は消費者が払うんです。働いている人が払うので、企業は一銭も負担しなくていいんですよ。
小口:企業は消費税って納税しないんですか?
森永:企業は消費税をとりあえず消費者から預かって納税するんですけれども、ただ右から左というか。企業は消費税を負担しないんです。消費税は消費者が負担するので。まず� ��の社会保障財源で、企業が負担していた分っていうのが増えなくて済むようになるわけです。つまり企業がまず払いませんよと。もう一段階の仕掛けは、今、収入に比例して保険料って払ってるんですね。消費税でとると、消費に比例して払う。当たり前といえば、当たり前ですけど、何が違うかというとですね。庶民は収入の8割ぐらい使っちゃってるんです。つまり、お金があんまり無いからそんなに貯金ってできないんですよ。給料が安い人って、生活がいっぱいいっぱいだから、8割ぐらい使わざるおえないわけです。でも大金持ちは使わなんですよ。例えば、しおりんの月給が1000万円になったとします。いくら使います?
仲俣:うーん。。使って10万円ぐらいですかね。
小口:1%!?
リバーフォールズの街
森永:まぁ、10万ってことはないと思いますけど(笑)でも100万あったらすごい生活できますよね?そうすると9割は使わないわけですよ。そうするとね、収入にかかっていた時っていうのは、収入比例だけど、消費にかかれば貯蓄の部分にはかからない。つまり、収入を消費と貯蓄にわけるわけです。お金の無い人っていうのは、収入の中で消費の割合がすっごく高いわけですよ。お金持ちは消費の割合がすっごく小さいです。そうすると、お金持ちのほうが(税金の面で)かかる部分がすっごく少なくなります。これを逆進性って呼んでるんですね。だからお金持ちにとっては、収入にかけられるよりも消費にかけれられたほうが全然いいんですよ。だから、私� ��ずっと言ってるのは、消費税をどうしてもあげなきゃいけないんだったら、貯蓄にも課税しろって。でもこれは、誰にいっても無視なんです。
小口:貯金だって、通帳から税金が引かれてますけど。
森永:利子にはね。元本に課税しろって私がいうと、政治家も金持ちも目をつりあげて起こるんです。
小口:じゃあ、野田総理っていうのは、お金持ちの方にとっては味方の意見。票をあげようって気持ちにさせるわけですね。
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デフレをとめれば 消費税アップの必要なし
仲俣:でも、消費税はなんでこの時期にあげようとしてるんですか?
森永:多分ですね。恐慌にしようと思ったら、実は過去の大きな震災のあとっていうのは、数年間は景気、大丈夫なんですよ。復興需要が経済を支えるので 。関東大震災のあと4年間、経済大丈夫でした。阪神大震災のあと2年間は大丈夫だったんです。それが数年たつと、復旧事業が終わっていくでしょ?すると、需要が落ちていくわけです。そこで景気がスーッと落ちるんです。その落ち際に、増税をぶつけると、一気に経済が崩壊するんです。それを狙っているんじゃないかなっていう気がします。
小口:経済の崩壊を狙っている?
森永:だから、恐慌になるのを狙っている。私はそれが大金持ちの本音だと思いますよ。恐慌の時ほど、やりたい放題になることはないんですね。例えば、三菱財閥、三井財閥。急激に太って、大財閥としての地位を確立したのは昭和恐慌の時。関東大震災の後なんですね。要するに恐慌になると企業を二束三文で買えるわけです。もうバンバン� �収合併。不動産も二束三文でバンバン買える。だからキャッシュ持ってる人は一気に太れる・・・っていうのを多分狙ってるんだろうなと思います。
小口:でも、民主党の大票田には労働組合がついてるじゃないですか?そういうところにとって、この消費税増税というのは?
森永:多分ね、一般の労働組合は反対だと思うんですけど。労働組合でも偉くなっていって、国会議員とかになっちゃうと庶民からはドンドン離れていくんじゃないですかね。
庶民にとっていいことなんて、なんにもないですよ。でも日本人はいい人なんですよ。震災でみんな苦しんでるんだから、僕たちもがんばらなくっちゃ・・・ってすぐ思っちゃうんです。
小口:ここは日本人の美徳なんだけれども、そこに漬けこんでるんじゃないか� �いうのが、森永さんの持論ですよね。
森永:ナオミ・クラインという人が「ショック・ドクトリン」という本を書いたんですけど。プチクーデターとか戦争とか、大惨事があった時っていうのは改革のチャンスなんですね。人心が混迷している時に、一気に手を突っ込んで改革をするんです。これ、ホントにウワサで証拠はなんにもないんですけれども、東日本大震災が起こった直後に、消費税引き上げ派の人達は一斉に歓声をあげたっていう噂もあるんです。"これで消費税があげられるぜ"って。まぁ、それはよくできたウソかもしれないですけど。見たわけじゃないですし。
小口:それがホントだったらあまりにも不謹慎ですが。じゃあ、他にお金を作る方法っていうのを考えてかなきゃいけないですよ。
森永:さっ き言ったようにデフレを止めればばすぐいけるんですけれども。他にも、いくらでも消費税増税と同じぐらいの税収をとることっていうのは可能なんです。例えばね"金融資産課税"っていうのがあるんです。これは預貯金から、最終的には現金も含めて。全部の金融資産に税金をかけると。
小口:タンス預金にも?
森永:はい。ただ現金に課税するにはちょっとテクニックが必要なんですけども。基本的には預金とか株とか債権とか、そういうのに税金をかけると。これね、例えば、日本で個人が持ってる金融資産って1400兆円って言われてるんですね。これに毎年、たった1%の税金をかけるだけで14兆入ってくるんです。さあ、しおりん、消費税引き上げで1年間に増える税収はいくらだったでしょうか?
仲俣� ��14兆?
レイモンド·マドックス、 m.d.
森永:惜しい!!13兆増えるんです!ってことは、消費税を倍にするより大きいです。もちろん、庶民の貯金に課税をするようなことをすると。老後の虎の子がやられちゃうっていうところはあって。例えば1000万とか2000万、控除を作って庶民にはかけません。"お金いっぱい持ってる人にかけます"っていう風にすればいいだけなんですよ。
それでね、たいして税収落ちないんですよ。なんでかっていうと、お金は一カ所にかたまっているからです。お金っていうのは、すごい特徴があって。性格が寂しがり屋なんです。だからお金って一カ所に集まるんです。世の中ってそういう風にできてるんです。普通の人っていうのは、金銭感覚が100万とか1000万ぐらいまでしかないんですけれども。� �えば、投機資金を10%、20%で回してくれるプライベート金融みたいなところがあるんですね。そこは最低の、1口のお金が大体10億なんです。だから10億まとめていかないと、相手にしてくれない。10億円ってイメージわかります?1億円というのは、1万円札で10キロなんです。だから10億円っていうのは、1万円札で100キロ!持てない! それが1口です。っていう人たちが、世の中にはたくさんいるんですよ。だからそういう人たちから"1%払えよ"と。ところがこいつらが払わないんですね。なんでかっていうと、金持ちほどケチなんです。
小口:多分ね、そういう人たちって税金もうまく節税してると思うわけですよ。だとしたら消費税って比較的、平等にとれる方法ではあるんですよね?
森永 :平等じゃないんです!庶民に集中してかかって、金持ちは一銭も払わないんですよ。日本の金持ちは払う気が全然ないんです。
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痛みのない税制改革は、相続税アップ
小口:消費税のアップ、本当に本当に避けられないのか?森永さん曰く"避けられる"ということですが。
森永:簡単に避けられます。方法はいくらでもあるんですよ。もう1つね、ついでなんで言っておくと。相続税はですね、いま日本の家計部門が持っている純資産。これは金融資産だけじゃなくて不動産とか色んなものが全部込みこみで、相続財産なるものが2000兆円以上あるんです。世代が大体30年で入れ替わるとすると、1年あたり68兆円ぐらい遺産がでているはずなんです。そこに2割課税すると14兆弱。つまり消費税� �倍にするのと同じだけの効果があるわけです。私はこれをイチ押ししているんですよ。なぜかというと、相続税の増税は痛みがないんです。なんで痛みがないかっていうと、払う人が亡くなっているからです。
小口:でも、もらう方は相続税をあてにして・・・
森永:いやだって、もらう方のお金じゃなくって。稼いだ人は亡くなっちゃってるんだから。亡くなった時に2割ぐらい持っていくなんて、普通でしょ?
小口:いま、相続税はいくらぐらいなんですか?
森永:1兆4000億円ぐらいしか入ってきてないんです。なぜ入ってきてないかというと、免税になってる部分もあるんですけど、制度の中で方法的にきちんと捕捉できてないんじゃないかなっていう部分もたくさんあるので。ほら、よくいうじゃない� �すか。大金持ちはスイス銀行に隠してるとか。スイス銀行って銀行はないんですけど。まぁ、そういう人たちの資産をガッチリ押さえて税金をとれば、消費税なんかあげなくていいわけですよ。
小口:そういうのを民間の会社に委託して、ちゃんと追跡することは難しいんでしょうか?
森永:本気でやればできるんじゃないかと思いますけどね。まず、そういう議論をすればいいわけです。法人税だって、昔に比べれば随分下がったんで、それを高くするのだって1つの方法だし。いっぱい手立てがあって"こういうメニューがありますよ。アナタはどれがいいですか?選んでください"っていうのが普通の議論の仕方だと思うんですけど。それが"消費税増税しかありません"って、一直線でいっちゃうからキモチ悪いわけで� ��よね。
小口:日本人はある程度、そういうのに"しょうがないよね"といって従う。そういう心を読んでのことですよね?
森永:そうそうそう。だからね、日本人はいい人だからすぐに騙されちゃうんです。評論家もね、体制側についてほうが儲かるわけですよ。だから小難しい顔して、ニュース番組にでて「子どもたちのために借金を残してはいけません」とかってテキトーなこといってると、結構いいギャラもらえて。しかも、ギャラが高いだけじゃなくて、一流企業から講演のお呼びがかかって、また大儲けができるっていう仕組みになっているわけです。
小口:そういう人たちからお金を取ってください、先に。
日本の消費税は、スウェーデン並みに高かった!
小口:消費税は今後、日用品にはかけない とか、そういう風に細かく区分はされていくんですか?
森永:いや、それもしないと思います。消費税増税で庶民を狙い撃ちにしているんです。
小口:でも、海外では割とそうやって、生活必需品にはかけないとかあるんですよね。
森永:それよりも、もっとひどいことをやろうとしているんです。でね、実は日本の消費税はすでに十分高いんです。
仲俣:でも、他の国と比べたら、低いじゃないですか?
森永:例えば、財務省のホームページに行くと「OECD諸国 消費税率比較」っていうグラフがでてくるわけです。日本が一番低いと。でも、OECDは30カ国あるんですけど、グラフを数えると29本しかないんです。1個だけ抜けてる国があるんです。さてどこでしょう?
仲俣:え〜、どこだろう?・・・ヒントありますか?
森永:ヒントは、大きな国です!
仲俣:大きな国? アメリカ?
森永:ピンポ〜〜ン!
小口:えぇ!?消費税ありますよね?
森永:ないんです!アメリカは消費税ゼロです。小売売上税はありますけど、消費税はないんです。こういうことをいうと「ニューヨークの小売売上税、高いじゃねえか」っていう人がいるんですが。実は、小売売上税がない州もあるんです。だから、ヤバイところはグラフにださないわけです。しかもこれ、標準� ��率っていうので比べてるんですね。ヨーロッパは食料品だとか、新聞だとか、公共交通だとか、そういう生活必需品には、軽減税率とかゼロ税率。全然かけないっていうのをやってるので。実行の税率は低いんですよ。表面的に標準税率が高くっても。しかも、欧米の場合は社会保障税っていうのが、みんなあるので。日本はないんです、企業にかける社会保障税っていうのが。だからね、税収の中で占める消費税の割合、これ日本とスウェーデンがほぼ一緒です。
小口:スウェーデンって、消費税25%ですよ!
森永:要するに、日本の消費税率と比べても5倍の消費税率なんだけど、実質的な負担は日本とスウェーデンは一緒なんです。っていうことを、誰もいわないんです。こんなのOECDのホームページに行けば普通 にでてくるんです。だからね、そういう事実っていうのをみんな知らないから「あー、日本は消費税低いんだ―」って思っちゃうんです。
小口:もう充分、消費税の役割は、そこで果たしてしまってるということなんですね?
森永:そうそうそう。むしろ、消費税率を仮にあげなきゃいけないんだとしたら、企業に社会保障税を作って、欧米並みにしないといけないと思いますよ。そうしないと、消費者だけに負担がいっちゃうんです。
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増税で景気は悪化する
小口:メールをいただいているんで、紹介していきましょう。
仲俣:「消費税がアップして、景気が悪くなったら戻すといっていますが、これってホントですか?」
森永:今まで戻した国って私は1つも知らないので。これはムリだと思� �ますよ。絶対しないと思いますね。戻さないほうに1万点!
小口:続いての質問です。「これまで3%、5%と消費税をあげた時、景気は悪化したんですか?」
森永:悪化しました。例えば、5%にあげた1997年から日本は長期デフレに突入しました。つまり97年から日本の経済は全然成長していない。むしろ、日本の経済は小さくなっているんですよ。これは、じわじわ減っているので、みんなあまり実感していないかもしれないですけど。インパクトとしては世界恐慌並みなんです。日本以外の国は、みんな経済規模が1.5倍とか2倍になっているわけですよ。日本だけズルズル落ちていっているんです。
小口:もう一通メールを紹介してください。
仲俣:「野田総理は、消費税増税のためなら解散もい� �わないようですが、解散したとして政治家のみなさんは増税に反対するんですか?」
森永:少なくとも民主党の前原・野田グループは増税に賛成すると思います。小沢グループ、みんなの党、社民党は反対すると思います。公明党・自民党は微妙ですね。自民党はもしかしたら割れるかもしれません。野田総理は最後まで「行くぞ」って言い続けるかもしれませんね。
小口:それからこんな質問も届いています。「今週11年ぶりに、円高ユーロ安(一時97円04銭)になりましたが、これは日本経済にどんな影響がありますか?」
森永:これ最悪ですよ。今、製造業、どんどん海外にでていってますから。結局、今年いっぱいは、この円高が止まらないと思うんです。なんでかっていうと、アメリカはドル安誘導をして、輸� �を増やしたいわけです。オバマ大統領は、アメリカの輸出を倍増させて、経済を復活させるといっているので。それでお金の量を3倍にも増やして"ドル安"にしたわけですね。ここで日本が円高を止めにいくということは、ドルを高くするっていうことですから。ホントに言ったわけじゃないですけど、オバマ大統領の気持ちとしては「(日本に対して)お前さ、楯つく気か?ふざけんじゃねえぞ」でしょう。これに野田総理は「ヨッ!大統領!そんなことは一切しませんよ!おっしゃる通りに円高を継続しますから!11月の大統領選挙、がんばってくださいね!」っていう行動を多分とるんだろうと思います。
小口:大統領選の行方によっても、この流れって変わりますか?
森永:でも、大統領選挙が終わるまでは絶対に� ��されないと思うので。だって、子分なんですから、日本はアメリカの。楯つくことは許されないんです。
ただ、復興需要があるので、今年の景気はなんとかいけると思うんですけど。ヤバイのは2014年からですよね。消費税を引き上げるとすれば。ただ法案が通るのかっていうのは、まだよくわからないというか、通らない可能性もかなりあるんじゃないかなっていう気はしますけどね。
小口:その頃、製造業なんて瀕死の状態になっちゃいますよ。
森永:うん。だから、早く選挙したほうがいいと思います。
小口:早く選挙するには?
森永:ここで、野田総理に歯向かえる人がドンドン歯向かって行って。最後、野田総理がキレて「そんなこというんだったら、解散してやるっ!」って言って。1番早ければ3月。4月の可能性もありますから。そうすると、春の嵐が吹き荒れますね。
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